ペン字練習のお手本選び
ペン字が上達するためにもっとも重要なもの・・・それは「お手本」です。
独学で本を参考にペン字を学ぶにしても、教室や通信教育を受けるにしても、いずれにしてもお手本となる字があるはずです。
そして大切なことは、そのお手本というのが、先生である「人」が書くものであるということです。
お手本を書く先生が違えば、上手さはもちろんのこと、書風(流儀・字の書き方・形など)が違ってくるのです。ですので、自分がどの書き手(お手本)の字の形を学びたいのかを、明確に決めなければいけません。
自分がどの書き手のお手本でペン字を学びたいのかは、どのような字の形を好むのかで決まってくると思います。
乱暴な言い方をすれば、超一流の書家が書いた見本であっても、自分が気に入る字の形でなければ、お手本として適していないわけです。
もし、身近に憧れる字体の方がいらっしゃれば、その方の字の形をお手本にするというのも良いでしょう。
基本がきちんとしていれば、あとは、字の個性の問題であると思いますので、「猫も杓子もこの字体をお手本に!」ということは無いと私は思います。
日本語の書風について
日本語の文字にはさまざまな書風があり、それぞれに独自の特徴があります。
- 楷書(かいしょ)
明確で整った字形が特徴。筆の運びが直線的で、角ばった部分もあります。文字の形が規則正しく読みやすいため、日常的な文書や書類でよく使われます。
例: 教科書や公式文書、商業印刷物など。 - 行書(ぎょうしょ)
楷書よりも筆致が流れるように書かれ、筆の運びが滑らかで、少し崩れた形が特徴。読みやすさと美しさを兼ね備え、手紙や詩文、日常的なメモに使われることが多い書風です。
例: 手紙、日記、書道作品など。 - 草書(そうしょ)
楷書や行書の形が大きく崩れていて、筆の運びが非常に流動的です。文字が連続して書かれ独特の美しさがありますが、読み取るのが難しいこともあります。主に、芸術的な表現が求められる場面で用いられることが多いです。
例: 書道の作品、詩など。 - 隷書(れいしょ)
漢字が方形のブロック状になり、線が太く、角ばった形状が特徴。古代の中国で使われた文字で、整然とした美しさがあります。歴史的な文書や古典的な書物で見られ、普段の生活ではあまり見ない書風です。
例: 古文書、歴史的な書物。 - 篆書(てんしょ)
紀元前の中国で使用されていた文字で、非常に古風な形状。線が太く、丸みを帯びた独特の書体で、装飾的な美しさがあります。篆刻(印章などに刻む文字)でよく見られます。これも隷書と同様、普段の生活ではあまり見ません。
例: 印章、篆刻作品。
お手本を選ぶ際の注意点
どういう手段でペン字の練習を始めるにしても、お手本選びがいかに重要であるか、お分かりいただけたかと思います。
字があまり上手でない方でも、お手本がきれいな字であるかどうかは分かりますから、教室に通うのであれば、必ずその教室の講師の方の字を見てから決めるようにしましょう。
「家から近いからこの教室でいいや」、「こっちの教室の方が月謝が安いからいいや」、というような選び方は避けましょう。
独学でペン字を練習するにしても、書店に売っているお手本の字をよく見てから買うのがポイントです。
一冊の本に複数の人の字を載せている本もありますので、きちんとすべてのページを見るように心がけましょう。
書店で売っているものについては、縮小されたお手本もありますが、できる限り実物大のものが練習し易いと思います。
ただ、実物大のお手本の本となると、お値段が張ってきますのでご注意下さい。
通信教育で講座を受講するのであれば、受講される講座のお手本の字を、パンフレットやホームページなどで確認してみて下さい。よくわからない場合などは、直接お電話などで確認されてもよいかと思います。
ペン字講座のお手本を比較することは非常に重要です。
ご自分が学びたい字の形(書風)の講座を選びましょう。